敷地に捉われない家づくり
前回、
南に建っている家のせいで、
敷地の半分近くが日陰になってしまう土地に建つ家の多くが、
総2階建ての家になるというお話をさせていただきました。
その理由は、日陰を避けて
家を建てようとするからなのですが、
この結果、前回お伝えしたような
使いにくい家になってしまいます。
今回は、そのような土地でも、
使いやすく、明るい解放的な家にするためには、
どのような間取りにするべきか、
考えていきたいと思います。
■家のベースを平屋から考える
一般的に、新築を考える際に選ばれる土地の広さとして、
60坪前後からが多くあります。
60坪前後であれば、車の駐車スペースを2〜3台設け、
平屋を建てることが十分に出来るので、
この土地では、まずは
平屋に出来ないかを考えるべきです。
平屋にする事により、生活動線もシンプルになり
毎回2階へ上り下りする必要がなくなります。
また、平屋になると廊下や階段などの
ムダなスペースを省く事もできますので、
その分コストを抑える事ができます。
しかし、平屋にすることにより、
当然日陰になる部分にまたがって家を建てる事になるので、
光の採り込み方を工夫しなければいけません。
■光の採り込み方の工夫
光を室内に採り込む際、ポイントとなるのが
直射光と反射光です。
では、まず直射光について考えてみましょう。
直射光とは、ご存じの通り
太陽から直接降り注ぐ光のことですが、
一般的な家づくりの多くは、
明るくしたい部屋にこの直射光を採り込もうと考えます。
すると、建物はどうしても、右向け右のように、
南向け南の間取りの配置にしばられてしまい、
リビングスペースや物干しスペース、寝室や子供部屋など、
日当たりを考えると2階建てになってきてしまいます。
しかしもう一つ、反射光を利用するとどうでしょうか?
光は、南からの直射光だけではなく、
空から散乱、反射して全方位から降り注ぐ天空光があります。
南からの光はもちろんですが、この天空光も利用し、
それぞれの光を、反射により室内に採り込むよう設計の工夫をし
てあげると、間取りの自由度がぐっと広がります。
これには、反射を利用したい外壁部分の色や、
室内の壁や天井の色にも気をつけなければいけません。
暗い色が多いと光をどんどん吸収してしまいますからね。
この点を工夫することにより、
十分平屋を計画することが可能になります。
■どうしても平屋が無理な場合
ですが、土地の特性やご要望の都合上、
その土地に平屋がおさまらない場合もあります。
そういった場合は2階部分をつくらざるを得ないのですが、
この場合も、出来るだけ2階部分を小さくする事がポイントです。
2階を広くつくっても
無駄にコストが上がるだけで、
使いやすさが上がるわけではからです。
あくまでもベースは平屋で考えるようにしましょう。
もちろん、平屋は贅沢だと昔から言われるように、
基礎部分など広くなるので、その点コストが割高になるところも
実際に出てきます。
ただ同時に、コストを抑えるためのアイデアや工夫も
平屋にはあり、それさえ出来れば
ありきたりの総2階建ての住まいに比べて、
確実に使いやすく、遥かに住みやすい、
明るく開放的な住まいが出来上がります。
いかがでしたでしょうか?
家づくりを計画される際に
少しでも参考にしていただければと思います。