南向きの土地は本当に良いの?
南向きの土地は、
一般的に最も人気がある土地であり、
土地代も高いと考えられています。
その理由は、
居住スペースに採光を確保しやすい、
間取りの自由度が高い、
開放的な外観にしやすい、
このように考えられているからなのですが、
これらのメリットは、
南向きの土地を購入した全ての方に、
当てはまる事なのでしょうか?
例えば、
南向きの土地に建つ家の多くは、
居住スペースを明るく開放的にしたいがために、
基本的に南側に居室を配置し、
それぞれの部屋に大きな窓をつくっています。
しかし、これらは一見、
南からの採光を確保しているように思いますが、
実際に生活をしはじめると、その窓をカーテンで閉め切ら
ざるを得ません。
外からの視線が気になるからです。
また、直射日光が入ってくる場所が増えれば、
家の中が暑くなりやすいし、
テレビに光が反射して見にくくなってしまうし、
直射日光の中に含まれる紫外線で
床や家具が焼けやすくなってしまいます。
そして、こういった理由も合わさって、
余計にカーテンを閉め切ったままにせざるを得なくなる、
というわけですね。
結果、逆に家の中が薄暗くなっていきます。
■間取りの自由度は本当に高いのか?
南向きの土地を買う最大の理由は、
居住スペースを南に確保しやすいからです。
となると、南に居住スペースを配置し、
かつ南に配置した部屋の南面には
大きな窓を設置することを前提として、
間取りを決めていってしまいます。
つまり、南向きの土地を買った時点で、
自ずと、ある程度間取りが決まってしまう
というわけなので、そう考えると、
間取りの自由度も、
決して高いとは言えないと思いませんか?
わざわざ採光が確保しやすい
南向きの土地を買ったのに、
あえて南に居住スペースや窓をつくらないという
選択肢をとることが出来るならば話は別ですけどね。
■防犯性は高くなるのか?
南向きの土地は、
南側に居住スペースをつくり、
かつ、その居住スペースにそれぞれ大きな窓を設けていく
ケースがほとんどかと思います。
しかし、こういったお家は、
窓を見ただけで家の間取りが分かってしまうし、
灯りをつけたままで寝るようにしないと、
夜どの部屋を使っていて、どの部屋を使っていないかが、
簡単に分かってしまいます。
また、プライバシーを確保するために、
目隠しや塀などを庭につくってしまうと、
万が一窓から侵入されても、外から見ても気づかれず、
逆に防犯性が悪くなってしまいます。
ですので、防犯性の高さを維持するためには、
プライバシーを犠牲にし続ける覚悟が必要となるか、
あるいは常時カーテンが閉まったままの
薄暗い家に住み続ける覚悟が必要となる、
そして、どの部屋も夜ずっと電気をつけたまま
暮らすようにしなければいけない、
というわけですね。
■開放的な外観ってどういうこと?
空を眺めることが出来、
家の中から庭や緑を眺めることが出来、
かつ視覚的に空間の広がりが感じられる
開放感たっぷりの室内をつくることが出来れば、
毎日をとっても心地よく過ごしていただけると思います。
しかし、この空間をつくることと、
外観が開放的であることは一切関係がありません。
外観を開放的につくればつくるほど、
外からの視線を防ぐためにカーテンが必要となり、
家の中が薄暗くなってしまうからです。
そのため、
空や外を見ることが出来るようにするためには、
そもそもカーテンが必要のない窓を
つくらないといけないのですが、
実は、それをするのが一番難しいのが、
この南向きの土地です。
ですので、こういった点も冷静に考えていただき、
土地選びを行うようにしていただければと思います。
南向きの土地がすべてダメというわけではありませんが、
必ずしも南向きの土地が一番いいわけではありません。
最も高い価格で購入したにもかかわらず、
最も住みにくい家をつくってしまうかもしれないからで
す。